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アユサワ時計店
奇特な人は身近にいないかしらん!
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先に、お客様から小冊子を戴いたのだが、
新興宗教の匂いがプ~ンと鼻に付くので、
そのままにしておいたのだが、
今になって、そろそろとページを繰って見た。

へエーとかホーとかといった感触とは別に、
当初感じていた宗教臭さは、かなり薄められてはいるのだが、
どうにも背中がムズ痒い。

冊子の中ほどの欄に「まごごろが運命を開く」とある。
「土地をタダで手に入れた婦人の話」
ウぬっ、オヤッとばかり読み進めた。
内容は、銭湯で知り合ったお年寄りの背中を流し続けて10年、
話の弾みに家を建て替える旨を、おばあさんに話したところ
「うちの土地に家を建ててくれませんか。
土地はそっくり差し上げますから」と言ったと言う。
続けて「今の世の中に、あなたのような人を見た事がありません。
私は身よりもなく、心配してくれるような人は誰一人いません。
私が死んだら土地は皆さしあげます。
そのかわり、わたしの位牌をあなたの仏壇に納めさせてくださいね」
話がトントン拍子にまとまり500万円近くの土地を
信用と信頼の末にプレゼントされたとある。

10年もの間、背中を流し続ける、特に難しい話ではないが、
このご婦人の人徳があふれ出たものであろう。
少しばかり柔らかめの「ヘチマ」を買い求め、
イザ銭湯に繰り出そうかしら。

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【人は笑ってばかりで生きてゆくわけにはゆかない、】
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昭和が屹立していた時代、
マンションなどと、そんな香り高い物は無く、
したがって家風呂があるお宅はすくなかった。
必然、ちいさな石鹸カタカタ鳴らし、
銭湯通いが続いたものだが、脱衣所にはきまって
地域の映画館のポスターが貼られていた。
当時を思い浮かべ、指を折って数えてみると
歩いて行ける距離に十一もの映画館があった。
映画大好き少年、(わたし、私、わたくしとて
煌く少年時代があったのだ)は銭湯の番台に坐る
オバちゃんから映画館のビラ券を貰うのが楽しみであり、
また、風呂上りに片手を腰にあてて牛乳を飲むのも
甘露たる小さな幸福感を味わったものだった。

当節は映画館に行ってもニュース映画を見ることは叶わぬが、
セピア色の時代では必ず本編が始まる前には
ニュース映画が映し出された。
新聞社のニュース映画が主なのだが、
なかに、エベレストの山並みをバックに、
流れるようなペンフォルムの英字体で
「パラマウント・ニュース」があり、
スクリーンいっぱいに白黒の画面が現われると
少年は欣喜雀躍して心躍ったものだった。

そのナレーターを務めていたのが、先年旅立たれた
竹脇無我さんの父上、竹脇昌作さんであった。
独特の言い回しが魅力的で、物真似芸人の桜井長一郎さんなどは
口をすぼめて、良く舞台で披露したものだった。
無我さんのお父さんが自殺をしたとは
当時かなりの衝撃的な出来事であり、
世間を騒がせたものだったが、それも時の流れに浮き沈みをし、
いつしか誰の口にも登らなくなり、
やがて息子、無我さんの登場となった。

甘いマスクと健康な色気を持った無我さんのテレビドラマに
チャンネルを合わせ、栗原小巻さんとのテレビでの
ラブ・ロマンスに固唾を呑み、「だいこんの花」森繁久弥さんとの
絶妙な親子像は、さながら勝小吉、麟太郎の
「父子鷹」を彷彿させるようでもあった。
森繁さんが鬱病を患っていた無我さんに
ユダヤの格言を用い手紙を贈ったという。

「人は笑ってばかりで生きてゆくわけにはゆかない、
また、人は泣いてばかりでは生きてゆく事はできない。
たまには人知れず、いや、人の前でもいい、
ばんこくの涙を流し、大きな声を上げて泣いてみたい。
心が洗われるようになると信じるのだ」

私は特別、無我さんのファンでもないのだが、
森繁、竹脇さんお二人とも鬼籍に入いった今、
妙に心哀しく溜息が深く長く漏れる。



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★アユサワ時計店
★東京・板橋区蓮沼町71-2
★℡ 03-3966-1715




手前は頭を掻く事しきり。
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一日を一生のごとく大事に生きよ「一日暮らし」とは
臨済宗中興の祖とされる道鏡恵瑞の言辞でありますが、
覚者はいともなげに申されますが、
なかなか言うは易しで、いざそのように思えども、
凡人はものの5分もあれば水泡に帰してしまいます。

軟骨肉腫という病苦に冒されて早世した大島みちこさんの三日間は、
その著作「愛と死を見つめて」からうかがうと、

「健康な日を三日ください」
「一日目、私はふるさとへ帰って、おじいちゃんの肩を叩きます」
「二日目、私はあなたのところに飛んでゆきたいの」
「三日目、私は一人ぼっちで思い出と遊びます。
そして、静かに一日が過ぎたら、
三日間の健康ありがとうといって永遠の眠りにつくでしょう」
三日間の健康ありがとうですか、なんとも辛いものです。

これは、
二十歳で鉄道自殺をした高野悦子さんになると
「一日目、私の醜さと美しさ、あらゆるものをアルコールで溶かし去り、
ただあなたの安らかな寝息のそばで眠る」
「二日目、喫茶店で音楽を聞きたい、あなたの好きなクラシックと
私の好きなジャズ、煙草のかぼそい、むなしい煙のゆらめきを眺めながら、

そして、その夜はあなたと安宿におちつき、静かに狂おしく、
あなたの突起物から流れ出るどろどろの粘液を、
私のあらゆる部分になすりつけよう」

「三日目、私は原始の森にある淵を探しに出かけよう。
そこに小船を浮かべて静かに眠るため」

ポッカリ月が出ていたら、船を浮かべて出かけましょう・・・
中原中也の一説が重なりを見せます。
大島みち子さん、高野悦子さん、おなじような年代でも
明度も彩度もくっきりと違いを見せますが一日一日の重さは同じように
感じられます。
それにつけても、だらしがなく怠惰な日々を過ごす手前は頭を掻く事しきり。

(参考資料・愛と死を見つめて・大島みち子)
(二十歳のエチュード・高野悦子)


【これもまた不都合なる真実】
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先日、50歳前後でありましょうか、若々しいご婦人が
お見えになりました。
長い事、止っていた時計があり、治してくれるところもなかなかないので、
そのままにしておいたのだが、主人から聞いてきたといって、
婦人用の時計3点お持ちになりました。
承りますと3点とも電池時計です。

早速、裏蓋を開けて電池を取り出してみると、二つの時計は
すでに漏液が出始めています。
漏液部分を掃除し、機械の汚れを取って新しい電池を入れ替えますと
一つの時計は直ぐにも動き出しましたが、もう片方の時計は
ぴくともいたしません。

ウォッチ・テスターにかけ、電気信号を見ますと応答がありますので、
歯車の動作不順が考えられます。
とりあえずの処置として固まって居るであろう油を溶かしてあげると
再び時を刻み始めました。

「電池時計の場合は、電池を入れたまま長いこと止めておくと
不具合が出ることがありますよ、外国製品は特に注意が必要ですね」
と、話しますと、
実はもう一つ大事にしている時計があるといわれます。

私が嫁に来たときに姑さんからプレゼントされたもので、義父が姑に
「この時計は白金で高い時計だから」といわれ、大切にしていた時計を
私に引き継いで貰おうと手渡されているものと話していただきました。
ブレスレット・タイプで高価な時計のようです。

お話を伺っていますと義母に戴いたのがかなり前のことでもありますし、
しかも高価な時計であるのなら、電池時計ではなく、手巻き式の
機械時計ではないのですかとお聞きしますと、解らないので、
これから持ってきてみますねと、
2、3時間後に再び時計を持ってお出でになりました。


・・・・・・・・・・・


手にとって見ると、銀色の光沢が輝きブルーの文字板にオーディマ・ピゲの
文字が見て取れます。

が、、、、手にした瞬間に・・・・
「これはよくない」と確信に近いものを持ちました、
あける事をしなくても想像はできるのですが、開けてみますと
安手のクオーツ・ムーブメントが収められていました。
姑さんも、また、お嫁さんも長年本物として心温めていたものです。

さて、どのように説明をしましょうか、
「いくらぐらいするものですか」と問われて
さりとて、偽物を本物ですとは到底いえないし、
「う~む、あまり宜しくないようですね」
仕方なく、当たり障りのないよう説明をするも
そのショツクは気の毒なほどです・

「もう!絶対義母にも言ってあげるんだ」と申されます。
とりあえず、主人には話さなくてはとも

「これって、黙っていたほうが宜しいですよ、
知ったがために辛い思いをするのは、ここで止めませんか、
絶対、そのほうがいいですよ、沈黙は金です」

長いあいだ義母を騙していた義父も許せないといわれます。
「う~ん、お気持ちはわかりますが、ここは秘密にしときましょう」
なだめ透かしの繰り返しとなりましたが、

さてさて、どのような展開になったのかしら・・・・
まだまだ勉強不足を露呈したかな・・・・
私が余計なことを言ったかなとも・・・・


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