FC2ブログ
アユサワ時計店
【人は笑ってばかりで生きてゆくわけにはゆかない、】
take_pht_5.jpg

7d2f1d19-s.jpg


23329849.jpg



昭和が屹立していた時代、
マンションなどと、そんな香り高い物は無く、
したがって家風呂があるお宅はすくなかった。
必然、ちいさな石鹸カタカタ鳴らし、
銭湯通いが続いたものだが、脱衣所にはきまって
地域の映画館のポスターが貼られていた。
当時を思い浮かべ、指を折って数えてみると
歩いて行ける距離に十一もの映画館があった。
映画大好き少年、(わたし、私、わたくしとて
煌く少年時代があったのだ)は銭湯の番台に坐る
オバちゃんから映画館のビラ券を貰うのが楽しみであり、
また、風呂上りに片手を腰にあてて牛乳を飲むのも
甘露たる小さな幸福感を味わったものだった。

当節は映画館に行ってもニュース映画を見ることは叶わぬが、
セピア色の時代では必ず本編が始まる前には
ニュース映画が映し出された。
新聞社のニュース映画が主なのだが、
なかに、エベレストの山並みをバックに、
流れるようなペンフォルムの英字体で
「パラマウント・ニュース」があり、
スクリーンいっぱいに白黒の画面が現われると
少年は欣喜雀躍して心躍ったものだった。

そのナレーターを務めていたのが、先年旅立たれた
竹脇無我さんの父上、竹脇昌作さんであった。
独特の言い回しが魅力的で、物真似芸人の桜井長一郎さんなどは
口をすぼめて、良く舞台で披露したものだった。
無我さんのお父さんが自殺をしたとは
当時かなりの衝撃的な出来事であり、
世間を騒がせたものだったが、それも時の流れに浮き沈みをし、
いつしか誰の口にも登らなくなり、
やがて息子、無我さんの登場となった。

甘いマスクと健康な色気を持った無我さんのテレビドラマに
チャンネルを合わせ、栗原小巻さんとのテレビでの
ラブ・ロマンスに固唾を呑み、「だいこんの花」森繁久弥さんとの
絶妙な親子像は、さながら勝小吉、麟太郎の
「父子鷹」を彷彿させるようでもあった。
森繁さんが鬱病を患っていた無我さんに
ユダヤの格言を用い手紙を贈ったという。

「人は笑ってばかりで生きてゆくわけにはゆかない、
また、人は泣いてばかりでは生きてゆく事はできない。
たまには人知れず、いや、人の前でもいい、
ばんこくの涙を流し、大きな声を上げて泣いてみたい。
心が洗われるようになると信じるのだ」

私は特別、無我さんのファンでもないのだが、
森繁、竹脇さんお二人とも鬼籍に入いった今、
妙に心哀しく溜息が深く長く漏れる。



bird1.gif


★アユサワ時計店
★東京・板橋区蓮沼町71-2
★℡ 03-3966-1715


スポンサーサイト





コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
トラックバック URL
http://ayusawa217.blog.fc2.com/tb.php/372-8ae25417