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アユサワ時計店
その壮絶な生き方にウムッと唸る。
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坂下さん(仮称)さんは、還暦にはまだ余裕がある身、
最近は出てもらいたくないところへ贅肉がついてきたと
お嘆きの様子である。
傍からみると、幾分ぽっちゃりとはしているが、
さほど気にかけることも無いだろうにと思うのだが、
当人はいたって深刻さを顔に滲ませる。

その坂下さんが
「アユさん!うちのお爺ちゃん知っているでしょう?」
(ええ、存じておりますが)
「お爺ちゃんね、今年の春に亡くなったのよ」
(エエッ!お元気だったのに、ご病気でしたか)
「病気じゃないんだけどね、家に柿ノ木があるのよ」
「でね、いつも爺ちゃんが枝を切っていたのね」
「そんで、枝でも落とそうとしたのかしら」
「柿ノ木から落ちちゃったのよ」
(それはまた!)
「そうなのよね、でもこれも寿命よ!」
(寿命っていったって!)

「そんでさぁ、お爺いちゃんね、ドスンと大きな音がしたんで、
驚いて駆けつけた私達に駄目だよって
手を振ったんだから凄いわよ」
「で、救急車がきたときはもう駄目だったのよ」
(それは凄いですね、死に際がわかるなんて)
「そうよね」

坂下さんのお爺ちゃんは90歳近くになられるのであろうか、
若かりし時には道楽にうつつを抜かし、
(これは私が言うのではなく、
坂下さんのお婆ちゃんの言なのだが)
カメラ好きが嵩じて給料をもらうと、
そのままカメラ屋に飛び込んで
欲しいカメラを手にしたという。
当人はそれで満足マンゾクなのだろうが、
いくら俺が稼いだ金と強弁を発しようとも
家人としてはたまったものではない。

そのうち、骨董にも手を出し、くだらないガラクタが幾つも
家の中に転がっていると、これもおばあちゃんの呟きだった。
カメラと骨董と盆栽、三題話ではないが、
身をどっぷりとおき、柿ノ木から滑り落ちるとは、
なんともはや、その壮絶な生き方にウムッと唸る。
ある意味、羨ましくさえもあるのだが、猿ならともかく
柿ノ木から落ちるとあっては痛いからな~
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コメント
こんばんは
はじめまして!あるブログを拝見していたら、このブログに出会いました。私もブログを開設しています。「鬼藤千春の小説・短歌」で検索できます。一度訪問してみて下さい。よろしくお願い致します。
[2015/10/23 20:45] URL | 鬼藤千春の小説・短歌 #g.qUwJtQ [ 編集 ]


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